No.1: ELIZETH CARDOSO / Zimbo Trio - Jocob do Bandolim Vol.1

selected by 神保 亮 (Rio Zimbo) 名誉顧問


ジャケットは黒一色のステージ。録音にはいわく因縁があったと聞いているエリゼッチ・カルドーゾの三枚にわたるライブ。私の宝である。元気だったジャコー・ド・バンドリンそしてジンボ・トリオ。針を落とすと、もう、あの世界に居る。演奏にかぶさる聴衆の拍手は海辺にきく波の音のよう。カルドードは春の海の如き。あるいは昼下がりのまどろみの如き歌。優しくその歌に戯れるバンドリンのきらめき。一面が終わって、針の上がる音で吾にかえる。至福の時間と空間を作ってくれる、この不思議。どの曲がと言うには、その切れを感じさせない。
それでも、私はこの曲になるとはっと態勢をととのえるという一曲がある。BARRACÃOである。エリゼッチの「バーイ、バラカン〜」という歌い出しで私は感極まる。なんという優しさ、なんという悲しさ・・・・。