No.15: MOACYR LUZ / Mandingueiro

selected by 稲葉昌太(Rip Curl Recordings

サンバはこんなに切なくて、瑞々しい。還暦過ぎてやっと1人前、みたいな枯れた味わいもいい。でも、力強くギターの弦を弾きながらまっすぐに歌う、こんなフレッシュなサンバが僕は好きだ。

ヴェーリャ・グアルダの長老と、昨今ラパで活躍する若手サンビスタ。両者をつなぐ世代の代表格がこのモアシール・ルス。1958年生まれ、40歳にして発表したこの作品でのフレッシュでストレートな瑞々しさこそが、彼の魅力だと強く思う。あくまで己の声とギターで勝負し、メロディをあるがままに気持ちを込めて歌うそのスタイル。
それがそのまま僕の心に飛び込んでくる。CDを再生した直後に、こんなに切ない気持ちになり、しかし心躍らされるサンバのアルバムが、他にあるだろうか。

今でもラパを根城にライブを精力的に行っているモアシール。最近の作品はどれも入手し易く、また内容もどれもいい。しかしやはりこのアルバムが1番好きです!
現在はなかなか入手しづらいかもしれませんが、中古盤ではたまに見かけます。それも安価で。ぜひ聞いてみて下さい。