No.16: FILO MACHADO / Jazz de Senzala

selected by 浅野光成@名古屋(会員番号127)


このアルバムは、山寺の思い出と深く結び付いている。

夕景から夜景に変わる、会場の大きなガラス窓。
汗を飛ばしながらの歌唱、そしてパフォーマンス。
ヴォイスパーカッションの不思議。可能性。

そして、客席。
言葉はわからなくても、彼の挑発で
一人、また一人と立ち上がっていく熱狂。

言葉が通じないからこそか。あの一体感。
私にとって、ライブで味わった初めての幸福感だった。
このアルバムは、私のそういった思い出と分かちがたく結びついている。

曲名は同じでも、アルバムに収められた楽曲と、
ライブ会場で味わった楽曲は、もちろん違うものだ。
あの熱狂を直接感じるわけではない。
しかし、その欠落感が、いっそう、あの夜のことを私に思い起こさせるのだ。