No.11: SMOKEY & MIHO / 人間の土地

selected by Junko.H(会員番号152)

映画でもアートでも、自分が惹かれるものには必ず共通点が存在するものですが、私の場合、音楽では好きなミュージシャンが、実はブラジル音楽に影響を受けていたということがよくあります。
このアルバムは、NYで活動していた大好きなバンド“TIBO MATTO”の羽鳥美保(Miho)とBECKのギタリストのスモーキー・ホーメル(Smokey)がユニットを組み、ブラジル音楽への愛情を形にした作品です。はじめて聴いた時、それまでの音からやはり…と納得すると同時に、なんと素敵なアルバムを作ってくれたのかと嬉しくなりました。
全曲にわたって、真面目に淡々と歌うMihoの声にはいつものような奇抜さはなく、ブラジル音楽に対する誠実さが感じられます。しかし、湿った土の臭いや神聖な神々など、ブラジルの大地をイメージさせる一方、どこか前衛的な空気が漂い、オルターナティブ・ロックならぬオルターナティブ・ボッサ?(そんなんないんやけど…)といえるような独自の世界が広がっています。
アルバムの後半、バーデン・パウエルとヴィニシウス・ジ・モライスの「OS AFRO SAMBAS」から数曲収録されていますが「Tempo de Amor」が最高!映画「SARAVA」の中で、ワンフレーズ弾く度に煙草を吸う、カッコよすぎるバーデン・パウエルを思い出してしまいました。Miho は間違いなくあの映像をイメージし、バーデン・パウエルの横で、煙に巻かれながら一緒に歌ったに違いありません。
日本語で歌ったオリジナル曲「Summer Rain」もサウダージ感たっぷりで、とても美しい曲です。
「人間の土地」といいうタイトルもいいです。